富士山の南面

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静岡県沼津市


 町の南、港に近いホテルから。
 2000年12月。
 沼津駅は東海道線が現在の御殿場線だった時代には、汽車の足柄道越えの為の編成替え基地駅で、東海道線最大の面積の操車場を備えていたという。 従ってこの操車場の東側は、現在の御殿場線の方を向いていて、云わば後付である東海道線は脇から盲腸のようにチョロッと出ているに 過ぎない。

 このことは、足柄道の東側基地駅の国府津にも言えて、御殿場線が国府津に近づくと、右手に大きく旧操車場、現在の東海道線電車基地が広がっているが、 東海道線の線路配置は国府津駅に於いても付け足しにすぎない。

 沼津駅は30年前にはまだ大操車場の面影があったが、今や大操車場は駐車場や建物に侵食されつつある。

 手前は愛鷹山(あしたかやま)。富士山のほぼ真南の斜面を見ている事になる。黒く見えるのは暖冬だからではなく、積雪が西風 (静岡県の典型的冬の季節風で西高東低の冬型気圧配置になると西向きの強風が晴天下に吹き荒れる)に飛ばされてしまうからである。
 愛鷹山は70万年前、富士山の大元になった小御岳噴火という火山活動でできた山である。富士山はその後、2万年前の古富士噴火、 約5000年(たった5000年!!!)前から1707年の宝永噴火まで続いた新富士火山活動と続いて現在の姿になった。 従って愛鷹山は富士山のおじいさんの兄弟にあたる。
 愛鷹山は、小松左京の『日本沈没』ではいよいよ日本列島が沈み始めるシーンで活火山に海水がなだれ込む最初の現場になる。

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東海道新幹線三島駅


 積雪の直後の白きたおやかな峰と、強い西風で雪がめくりあげられている飛雪姿。日本海側大雪の強い寒波の時など半日で西と南の斜面は真っ黒になってしまう。
 交通機関関連施設で富士山が見事な所としては、三島駅の他に東名高速の富士川PA,足柄PA、御殿場線富士岡 (第2東名で大分スポイルされた)などがあげられる。中央高速河口湖線の富士吉田近辺からも素晴らしいが、残念ながら富士山が見えるPAが無い。

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東名高速富士川SA、県道10号線の共通道の駅「富士楽座」 2011年9月

 海抜3776mの剣ヶ峰をほぼ正面に据えた「富士宮、富士からの富士山」、 画面右端は愛鷹山、真ん中は富士宮市街。
 下界から見た富士山の天辺はほぼ平らという常識に反する姿であるが、富士宮に住んだ事がある友人によると、 富士宮の子供はごく自然に真ん中が尖った富士山の絵を描くそうである。

 富士楽座というのは東名高速道路の富士川SAと静岡県道10号線に共通の大型のサービス施設で、富士山から田子の浦方面まで見渡せる眺めの良い 展望サロンがある。残念ながらガラス越しの風景となる。


 こちらは同施設の、県道10号線に面した2階テラスからの眺め、これはガラス越しではない。
 手前の山は標高193mの岩本山。当然ながら頂上は世界屈指の富士山ビューポイントであるという。
 川は当然富士川で、河口まで約4Kmというところ、富士川はここで左に緩く曲がり、角度の小さな三角州を作って田子の浦に注ぐ。富士川の一番下流にかかる 国道1号線バイパスの新富士川橋は1.5Kmもある長大橋であるが、この付近の川幅はせいぜい数百mにすぎない。


 

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寒波襲来の富士山

2005年12月14日朝。

 2005年12月、12月としてはというより、寒波の歴史を紐解いても強力な部類に入るという大寒波が襲ってきた。12月6日頃から関東は晴天で 北風が吹き始め、12月13日は凄い風であった。12月14日の朝の富士山は強い西風で雪が飛ばされ、さながら夏姿になっていた。


12月17日朝、月齢17日






 朝から強い風で、富士山は山体の形の雲にすっぽり覆われ、雲の端は横浜から向かって右、北東の方向に流れている。 これは富士山に西高東低の等圧線に直角の強い西風が当たっているからで、雲の下は一応雪が降っていることになっているであろうが、 積雪より飛雪の方が多いと思われる。時間が経つにつれ、風が少し弱まり、富士山の雲も切れ、夕方には山肌を表わした。

12月20日



18日、19日と寒波は続き、19日には東京で氷点下を記録した。

三島駅から。近くで見てびっくり。完全に夏姿の富士山。左;朝8時半、右;午後4時



12月22日



 21日はやや寒気が緩み、関東地方も雨の可能性が伝えられたが、午後から又寒波。しかし22日朝、強い西風の三島駅からの富士山は 一転真っ白。ふんわりの雪ではなく斜面に貼り付いただけのようではあるが、二日前の姿が信じられない。 しかし、三島の西風は富士山に文字通り風雲を呼ぶ。午後1時にはかなり剣呑な姿になっていた。

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