ボージュ 冬


 Ballon d'Alsace=バロンアルザスは風化で丸くなったボージュの峰を風船に見立てた呼び名である。ボージュ山脈を総称することもあるが、ここではボージュ南端の固有の峰を指している。 ここからは晴れていればスイスアルプスが見えるが、その晴れていればの条件は非常に厳しい。すなわち滅多には見られない。

 Ferme Auberge du Ballon d'Alsace=農家風旅籠バロンアルザス荘。とは言ってもバロンアルザス周辺は除雪されないので冬は閉じてしまう。オーベルジュというのは食事付きの旅籠を指す言葉であるが レストランだけで宿泊できないオーベルジュもある。このバロン・アルザス荘が開いていたとして宿泊まで出来るかどうかは知らない。 この写真は11月半ばで、まだ無理すれば入れる程度の積雪で、雪踏み運転練習中の風景であるが、オーベルジュは無人だった。



 ボージュ山脈は、フランスの北西部にあり、アルザスとロレーヌを分断している。日本ではアルザス・ロレーヌと纏めて言うが、アルザス人とつきあってみると とロレーヌにそれ程親近感を抱いているとは思えない。それどころか、彼らの感覚ではボージュは国境の山で、その西が『フランス』なのである。 そして、彼らはライン川の東にも断じて親近感は持っていない。そう、彼らはアルザス人なのである。 彼らに言わせるとボージュの向こうの住人も、ラインの東の住人も彼らのことはアルザス人だと思っているのだという。
コルマールのお祭りでの旗が、EU旗、アルザス州旗、低地ライン県旗、コルマール市旗と並んでいてトリコロール旗がすっ飛ばされているのを見た事がある。



Col du Ballon d'Alsace(1171m)


 ボージュで一番高い自動車用の峠であるが、バロン・アルザス観光用としてしか使い道が無いので費用対効果から冬は閉鎖される。
 閉鎖の仕方は別にバリケードを築く訳ではなく、単に『除雪しない』である。




Route des Cretes クレタの道


 ボージュの稜線を行く通称クレタの道は大部分の場所で視界が開けている気持ちの良いドライブウェイである。春夏秋それぞれに花畑、ブルーベリー摘み、 きのこ狩り(きのこは町の薬局で鑑定してくれる)などの楽しみがあるが、冬はロレーヌ側に幾つかあるスキー場へのアプローチ部分しか除雪しないので 雪が積もると閉ざされてしまう。従って、雪のクレタ街道は雪の降り始めでスノータイヤで走れる程度の日くらいしか走る機会は無い。
霧氷がきれいな左写真はアルザス平原に向かってゆったり広がるボージュの東斜面、右端で遠くに霞んでいる稜線はアルザスを隔てたシュバルツバルト。



Col de la Schluct=シュルクト峠(1139m)


 シュルクトはドイツ語で岩の意味、土着の言語アルザス語はドイツ語に似ているので、アルザス語でも岩なのかもしれない。
アルザスのマンステールからロレーヌのジェラルメに通ずる幹線道路であるD417が通っているので除雪と塩撒きで通年の通行が確保されており、 頂上付近にスキー場もある。冬のボージュを最も安全に越えられる峠かもしれない。とは言っても至る所凍結や吹き溜まりがあり、晩秋からは 霧も出るので油断は出来ない。




 左;シュルクト峠のロレーヌ側の道路脇、木はぶなのように見える。
 右;頂上付近から南の方を望む、クレタの道が稜線を走り、放牧地が至る所に広がっている。

 夏の間山の牧場で牛さんの出すミルクはその場でチーズに加工される。 これが名高いマンステールでウオッシュタイプの強烈なチーズとしてノルマンディの名チーズ、リバローと並ぶフランスチーズ軍団の兵(つわもの)である。
 しかし、マンステールも地元の農家レストランで出されるものはまろやかだし、しょっぱくて臭いだけという悪評があるリバローもノルマンディのレストランで 出されるものは納豆の香りも豊かで旨いのである。ただし、マンステール、リバロー共に指で直接触ると、後々お前何して来たんだと嫌われる原因になる。




Lac Blancと湖への道


 標高1054m、Col de la Schluct(1139m)とCol du Bonhomme(949m)の間にある小さな湖。氷が張り始めている。
この付近には規模は小さいがアルザス側にもスキー場が散在している。クレタの道がボージュの尾根を通っているので、スキー場の天辺に駐車場があり、 滑り降りてはリフトで昇る(戻る)というゲレンデ構成である。




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