Meyenheimは、コルマールの南約20Kmにあるアルザス平原上の小さな村である。マイエンハイムとはドイツ語で『Mayenheim=5月の家』であろうが、
ここはれっきとしたフランス領内である。アルザスにはこの種の地名が多い。というか大部分の町や村の名前は、ドイツ語的である。
マイエンハイム基地は、マイエンハイム村とは高速道路を隔てて反対側にある。基地は、フランス空軍で一番東に位置するいわばフランス本土の
東への最前線基地である。実際この基地公開は1997年6月にあったが、そのあとボスニア紛争が起き、最前線のマイエンハイム基地が忙しくなったせいか
少なくとも、2001年までは基地は公開されなかった。
この基地にはダッソー・ミラージュF-1戦術戦闘機飛行隊が駐屯している。
アルザスのコルマールの南のこの辺りに一日いると、基地所属のミラージュF-1が飛び交うのを見る事が出来る。私の勤務先の上空も飛び交い、
日本では聞けない、SNECMAアター9K の音を有り難く聞いていた。
基地の所属機は、普段は勿論シェルター内に収めてあり、こんなにずらりと露天に並べて置いたりしない。 Google Earthの画像は、アルザスでこの辺りだけ高精細になっており、シェルター誘導路で結んだ基地の様子がよく判る。
手前の2機、フランス空軍のアルファジェット。
グレーの塗装の1機、おそらく英空軍のトーネードADV(迎撃機型)。
次の3機、ドイツ空軍のトーネードIDS(攻撃機型)。
低い尾翼の3機、ダッソー・ミラージュF1、手前の茶色の1機は当基地所属機。
高い尾翼の2機、SEPCAT ジャギュアー攻撃機。
次の2機もSEPCAT ジャギュアーでこれは練習機型。
列機の続き。
ジャギュアー練習機に続いて、パトロイユ・フランスのアルファジェット10機。
赤い塗装の機体は、民間曲技飛行チーム所属機と、大戦中のワーバーズ達。
一番奥の黒い大きな機体は、ダッソー・ミラージュWか?。
パトロイユ・フランス。
予備機も含めて10機の列線。
垂直尾翼の番号が向こうから1で始まり、一番手前の機体は0である。
同じ列機を上の写真の逆側から。
パトロイユ・ド・フランスのこの日の演技は2回行われたので、これはその間の給油風景だと思われる。
一番手前は、民間機のアクロバットチーム所属機で、タンデム複座、前輪式の引込脚から
軽飛行機などではなく、本来軍用の大型練習機である事が判る。おそらくタービン・エンジンのピタラスPC-7である。
スポンサーのAdeccoというのは、スイス本社の人材派遣会社大手である。
おそらく大戦間の練習機であろうところの、空冷星型9気筒エンジン、ハミルトン・スタンダード製2枚プロペラ付きの複葉機越しに見た
エプロンの列機。
パトロイユ・ド・フランスの10機。
3機の赤いピラタスPC-7。
その並びはワーバーズ達。インベンション塗装のスピット・ファイヤー、ムスタングなどがなんとなく判る。
ドイツ空軍のパナビア・トーネード。
イギリス/ドイツ/イタリア共同開発の戦闘/攻撃機;MRCA=Malti Role Combat Aircraftと称する。
全天候性能を持ち、電子的妨害下での迎撃、制空、陸上海上の攻撃等を任務とする。
その為、タンデム複座、推力7トンクラスのスラスト・リバーサー付きアフター・バーナー・エンジン双発、可変翼を備えている。
デモ・フライトの為外部武装はもちろん増槽まで全部外して完全にクリーンになったやる気満々のトーネード。
歴史的にドイツ人は飛行機の外側に突起を付けたがるのだそうで、実際メッサーシュミットBf109Gなどは止めてくれと言いたくなるほど
機体外側に色々な物が突き出している。
ドイツの血が三分の一入っているこのトーネードも随分とごつごつしている。
トーネードのソロ・フライト。ミラージュ2000に対抗して、外部装備を全部外したクリーンな状態である。
離陸して脚を出したままロールするいわゆるダーティー・ロールは勿論、可変翼という武器を利用して視覚に訴えるデモ・フライトであった。
ところどころに黒雲があり、アルザスには珍しい湿度が高い日であったので、アフターバーナーを吹かすと青白い炎を引くのが見え、
飛行姿勢をわざと崩し、機体から気流剥離を起こしてバリバリと凄い音を出しながらストレーキを引くのは迫力十分だった。
着陸すると直ちにスラストリバーサーで急停止し、バックまでして見せる大サービス。
ジェネラル・ダイナミックスF16Cファイティング・ファルコン。
P&W F100 アフター・バーナー付き推力11トン1基。
マクダネル・ダグラスF15Cイーグル。
P&W F100 アフター・バーナー付き推力11トン2基。
右垂直安定板先端はECMアンテナ(電波妨害装置)で、そのすぐ下の後方向きの突起、左垂直安定板の同じ位置と形の突起も
同じくECMアンテナ。左の先端はレーダー警戒アンテナ(敵に狙われてないか?)。左右とも三番目の突起は衝突防止灯。
PANAVIA トーネード。
これは、現在現役のの戦闘機では最も凝ったおケツである。
ターボユニオンRB199 アフター・バーナー/スラストリバーサ付き。推力7トン2基。
排気孔の水平位置横にスラスト・リバーサのヒンジが見える。
垂直安定板直下にはドラッグ・シュートまで収納されている。
対照的にすっきりしたきれいなおケツは、ダッソー・ミラージュW。
冷戦時代、フランス独自核戦力の中心だった超音速爆撃機である。
60キロトン核爆弾1発を抱いて、マッハ1.7で敵地に侵攻する。
アメリカのF-111、ソ連のミグ23などと同じ思想の機体であるが、こちらは融通が利かない香車型の核攻撃専用機である。
外観はサイズと双発である事を除いて、ミラージュVそっくりで、エンジンはSNECMA アター 9K アフターバーナー付きで推力7トン2基。
当時の新鋭機で、性能デモンストレーションも兼ねてのやりたい放題のソロ・フライトを終えて帰ってきたミラージュ2000。
増槽も外したクリーンな状態で、空中ではアフター・バーナー吹かしっ放し、その轟音は幾らアルザス平原が広くても物凄く、パトロイユ ド フランス
の練習機8機編隊など可愛いもの。飛行機の腹筋運動ともいうべきマイナスG の背面上昇からの逆宙返りなどいう荒業もあった。
ランディングギヤを出しているが着陸はせず上空を低速で通過したのみであった。フランス空軍は4機所有している。
フランスはタンカーのKC-135も多数所有して有事に備えている。KC-135も着陸はしなかったがこの日飛来した。